プログラミング言語には、いくつかの重要な概念があります。
Visual Basicでプログラミングをする場合も、これらの概念を知っておく必要があります。
変数とは、データ(任意の情報)を記憶しておく領域のことです。ものの名前、数量、日付などあらゆる情報は、それぞれ独立した変数に記憶しておきます。変数を宣言するには、
<適用範囲> Dim <変数名> As <型>
のように記述します。VBScriptには型という概念がありませんでしたが、Visual Basicでは変数の使用目的に応じて型を指定します。
適用範囲とは、変数が公開される範囲のことを指します。適用範囲としては、Public、Private、Friendのいずれかを取ります。Publicの場合は、変数が宣言されたモジュールの外からもアクセスできるものです。また外部のコンポーネントからもアクセスできます。
Privateは、変数が宣言されたモジュール内だけで有効なものです。他のモジュールに同じ名前の変数があっても、互いに干渉することはありません。
Friendは、ActiveXプログラミングで必要になった概念です。プロジェクト内のほかのモジュールには見せてもいいが、外部のコンポーネントからは見えないようにしたい場合に、Friendを使います。
適用範囲については、最初は少し難しいかもしれません。その場合は、「何となく」読み進めてください。
型とは、その変数が整数なのか小数なのか文字列なのか、日付なのか・・・を表します。As以降を省略するとVariant型が指定されたことになります。
Variant型は、状況に応じていろいろな種類の値でも記憶できる便利な型です。そのため、ついつい使いたくなるかもしれませんが、他の型に比べて、メモリを余分に必要とする上、処理速度が遅くなります。できるだけ目的に応じた型を使用し、Variant型は本当に必要な場合だけ使うようにしてください。以下に、変数の型の種類を並べます。
型の記述 | 意味 |
---|---|
Boolean | ブール型(True/False) |
Byte | バイト型 |
Currency | 通貨型 |
Date | 日付型 |
Double | 倍精度浮動小数点型 |
Integer | 整数型 |
Long | 長整数型 |
Object | オブジェクト型 |
Single | 単精度浮動小数点型 |
String | 文字列型 |
Variant | バリアント型 |
変数名には、任意も文字列を指定できます(ただし、VBの予約語などは駄目)が、型を明示する接頭辞を付けることが推奨されています。これらの接頭辞には絶対的な決まりはありませんが、自分なりに一定のルールで付けるようにするといいでしょう。以下に、接頭辞の例を挙げます。
接頭辞 |
変数の型 |
---|---|
bln | ブール型 |
byt | バイト型 |
cur | 通貨型 |
dtm | 日付型 |
dbl | 倍精度浮動小数点型 |
int | 整数型 |
lng | 長整数型 |
obj | オブジェクト型 |
sng | 単精度浮動小数点型 |
str | 文字列型 |
vnt | バリアント型 |
変数と同様に、データを記憶しておく領域です。それでは、変数とはどこが違うのかというと、定数はアプリケーションの動作を通して変わらない値であり、読みこみ専用であるということです。例えば、円の面積を計算する時、半径は円ごとに異なるので変数に入れ、円周率は不変なので定数とします。
定数を宣言するには、
<適用範囲> Const <変数名> As <型> = <値>
のように記述します。変数の宣言に似ていますが、DimではなくてConstとなっています。また、最後に値を指定します。定数に値を設定できるのはここだけで、その後は一切値の変更は出来ません。
VBScriptでは定数を宣言するための記述方法はないのですが、Visual Basicにはありますから、不変の値がある場合は積極的に利用してください。
演算子とは、加減乗除や代入など変数などに対する操作を示すものです。演算子については、VBScriptとほとんど同じです。 違いは、Visual Basicには、Like演算子があることです。Like演算子については、Visual Basicのオンラインドキュメントを参考にしてください。
+ | 加算 | |
- | 減算 | |
* | 乗算 | |
/ | 除算 | |
^ | 指数演算 |
+ | 文字列の連結 | |
& | 文字列の連結 |
= | 代入 | |
= | 等しい | |
<> | 等しくない | |
> | 大きい | |
< | 小さい | |
>= | 以上 | |
<= | 以下 |
And | 論理積 | |
Or | 論理和 |
Like | 文字列の比較 |
数値に対する演算子は特に難しくないと思います。
文字列に対する演算では、+ も & もどちらも連結に使います。文字列の連結とは、
"Hello, " & "VBScript!!"
が、
"Hello, VBScript!!"
を表すことです。
代入と比較との両方で、= がありますが、
MyName = Seo | MyNameにSeoを代入 | |
If MyName = Seo Then | MyNameがSeoならば・・・ |
のように使います(If、Thenは制御構文、詳細は第5回)。
瀬尾佳隆 (webmaster@seosoft.net) |